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最古のクリスマスマーケットをめぐる論争。その起源は自由肉市だった!?

 ドイツ発祥のクリスマスマーケット。ドイツ最古の伝統を誇るとされるのが、1384年開始のバウツェンのヴェンツェルマルクトや1434年開始のドレスデンのシュトリーツェルマルクトです。
ザクセン州にあるふたつの市のどちらが最古かはちょっとした論争になりました。
しかし2015年12月6日、ドイツ記録研究所という民間の調査機関が、バウツェンを「年代記に言及されたクリスマスマーケットとしてはドイツ最古」、ドレスデンを「史料が残るドイツ最古のクリスマスマーケット」と認定しました(典拠1)。
 しかしドレスデンの歴史家Heidrun Wozel 氏は、「バウツェンでは、1844年に一度廃止されており、しかも純粋に肉市だった。」
「そのクリスマス固有の性格は史料的に証明されていない」と反論しています。
これに対してドレスデンは、「15世紀には、単なるクリスマス前の市場から、『シュトリーツェルの月曜日』に発展した」と主張します。
つまり市場の主要商品や名前が当時「キリストのパン(Christbrot)」と呼ばれたシュトリーツェル=シュトレンになったことで、単なる肉市から今日的な意味でのクリスマスのマーケットになったと考えているのです(典拠2)。
 しかしそのWozel氏も、クリスマスマーケットの元々の起源は自由肉市だったと考えています。
その由来は、1434年10月19日にザクセン選帝侯フリードリヒ2世が、「キリストの聖夜を含む毎週の休日に自由市を開催することを認めた」特権にあり(典拠3)、「その自由肉市で市民は、クリスマス前の断食明けに、お祝い用の肉を選ぶことができた」とWozel氏は主張します(典拠4)。
バウツェンの年代記(1843年刊)でも、1384年に国王ヴェンツェルが、「何人もミカエルの日(9月29日)からクリスマスまでの毎土曜日、農村から(市に)肉を持ち込んでも良い」という取り決めを認めたと書かれています(典拠5)。
自由肉市の開催の背景をWozel氏は、「4千人の市民の需要の増大に、肉屋の数が足りず、それが自由市開催の決定に至り、外部の肉商人を市内に呼び込もうとしたのだろう」と推測しています。
 いずれにしてもマーケット開催の鍵を握るのは、クリスマスに楽しむ肉の購入だったのです。
そこにシュトレンやレープクーヘン等のクリスマス菓子が主力商品として加わる過程で、自由肉市がクリスマス市としての性格を強くしていったようです。
ドイツのクリスマスマーケットでは、そんな歴史があったことを思い浮かべながらソーセージや焼き肉、シュトレンなどを食べるといっそう楽しい思い出になるでしょう。

ドイツ観光局広報マネージャー 大畑悟

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【引用文献】
典拠1:REKORD-INSTITUT für DEUTSCHLAND (RID) , ÄLTESTER WEIHNACHTSMARKT DEUTSCHLANDS IN BAUTZEN 

典拠2:Sächsische Zeitung, Welche ist der älteste?, 07. 12. 2015 

典拠3:Bachmann, Manfred, Der Dresdner Strietzelmarkt, Du : die Zeitschrift der Kultur, 40-12, 1980, S. 71.
PDFはこちら

典拠4:Heidrun Wozel, Der Dresdner Striezelmarkt. Geschichte und Tradition des ältesten deutschen Weihnachtsmarktes. Husum Verlag, Husum 2009, S. 7.

典拠5:Karl Wilke: Chronik der Stadt Budissin (Bautzen) von Erbauung der Stadt bis zum Jahr 1830. Hiecke, Bautzen 1843, S. 24.
PDFはこちら

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